氏治は一言で言うと「天才的な戦下手」であった
どんなに動員数が勝っていようが、どんなに外交の状況が有利だろうが
氏治が指揮を取っている、というそれだけで大潰走を引き起こす
上杉謙信とは別方向の意味で天才であった
結城氏に攻められて敗北し、主城を落とされ落ち延びる
多賀谷氏を攻めるも敗北し、逆に主城を落とされる
佐竹配下の太田資正と戦い敗北し、主城を落とされる
氏治にはカッとすると冷静に行動せずに最悪の場所に突っ込む癖や
一つの目的があるとそれだけに固執し果たすまで諦めないきらいがあり
そんな性格を利用されては策にはめられてしまうという一軍の大将としては致命的な欠点があった
ところが奇妙なもので、こんな氏治には命を懸けて忠誠を誓う優秀な家臣達が少なくなく
400年近くに渡って小田氏に支配されてきた領民は、小田氏をよく慕っていた
譜代の家臣であった菅谷一族は、菅谷政貞・範治親子を始めとして
敵からも賞賛されるほどに優秀な武将達であったが、
氏治が何度敗北しようと、主城を落とされようと、敵に降伏しようと、
嫡男が討ち死にしようと、変わらぬ忠誠で氏治を支え続けた
領民達も、自分たちの屋形は小田のお屋形様を除いてはいない!と
氏治を退けてやってくる他国の武将にはなかなか頭を垂れなかった
彼らは新しい領主に年貢を納めるのを拒否し、氏治の元にだけ年貢を納め続けた
放って置けないタイプか……。有利な戦略的状況を作れると言うことは、平時にはさぞかし有能な人間だったのだろうな。
原因不明の献身を受けるタイプ